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アナログ空室対策

アナログ vs デジタル vol.4

「サービスとおもてなし」

 

 

 

空室対策として、ポータルサイトのチェックボックスにチェックを入れるための設備投資をすることは、入居希望者のニーズに対応する即効性のある有効な方法だと思います。

また、煩雑な契約締結の時間と手間を省くためのIT接客IT案内IT重説は空室にいち早く入居させるために有力な技術だと思います。

しかし、ここでは基本に返り、時間と手間がかかる「サービス」「おもてなし」について話をしたいと思います。

 

 

『サービスとは?』

 

ホテルの文化は欧米が発祥で、評価に使われる「サービス」の語源はラテン語のセルバス(奴隷の、地役権のある)であるとされています。

これがサーブ(仕える、尽くす)と派生しました。

欧米ではこのサービスの意味について、人が神に仕える、人が国家に仕える、近代ではサービス業と言われるように人が人に仕えるというものに移り変わってきました。

 

 

『平安時代から続く「おもてなし」』

 

「もてなす」という言葉は「もて」と「なす」という語から成り立っています。

「もて」は「意識的に、主体的に・・・する」という意味があり、「なす」は積極的に働きかけて新しいものを創り出す、これまでとは別のものに変化させる意味があります。

これを一つにすると「意識的に何かを行い、あるべき状況をつくり出す」となります。

ここでいう「何か」には目に見えるものと目に見えない事象の2つがあります。

 

古く平安時代から使われてきた例として

「接待する、相手を大切に扱う、引き立てる、世話をする、取り立てて評判にする、相手が良くなるように助ける」などの意味として使われていました。現代でも「接待する」とか「世話をする」などの意味として使われますが、特に商品の提供方法として用いられたり、サービスと意味が混じっていて少し昔と違うように感じます。

 

少し逸れますが、平安時代では容姿以外に重要な要素とされた人の判断基準があります。

それは「心ざま」「もてなし」「言の葉」です。

「心ざま」は気立てのこと、「言の葉」は声によって発する表現や歌ことば、心のこもった言語表現などを示します。これらと「もてなし」のできる、気立てよし、物腰よし、声よし、文字美し・・・そんな「人」が高く評価されていたのですね。

 

 

 

『サービスとおもてなしの違い』

 

サービスではサーブする提供者側が「従者」で、サーブを受ける側の顧客が「主人」です。

 

 

 

おもてなしでは、もてなす側がホストである「主人」で、もてなされる側がゲストである「客人」です。

 

 

 

これをオーナーと入居者の関係で考えてみると、、、

 

サービスでは、オーナーが「従者」で、入居者が「主人」です。

顧客満足を得るためにオーナーがたくさんサービスします。

 

おもてなしでは、オーナーが「主人」で、入居者が「客人」です。

一期一会を大切にオーナーが心温まるおもてなしをします。

 

 

もう違いにはお気付きと思います。

 

「おもてなし」は基本的に人と人が対等です。

 

入居者が大切なお客様であることには変わりないのですが、お客様の意思や要望だけが優先され、オーナーが従者の役割をするのは良い関係とは思えないのです。

確かに賃貸借契約(借地借家法)は時代の変化とともに内容を変え、貸主と借主の関係を変化させました。そして近年では、借主である入居者が顧客として、あたかも主人として、サービスを受けるべきだという考え方が一般的になっています。

遠い昔のように、「部屋を貸してやる、気に入らないなら出て行け」というオーナーの考え方はよほど価値の高い物件以外では通用しなくなりました。

 

そこで、これからのオーナーが原点に返って部屋を貸すことをどのように捉えるべきかというと、「豊かさ」「温かさ」「明るさ」「楽しさ」「和やかさ」「くつろぎ」を『客人に与える』という考え方を持つことだと思うのです。

これが失われつつあるために、入居者は入居条件をデジタルで検索して盲目的に物件を選ぶようになっています。

入居者からお金をもらうということだけでなく、客人に与えられるものは何なのかを今一度考え直して、それが基本にあって、ポータルサイトのチェックボックスを埋めていただきたいと思います。

 

 

オーナーの考え方や思いは物件に伝わります。そしてそれはそこに住む入居者にも伝わるんです。

 

 

ぜひ目に見えない「おもてなし」の心で、客人である入居者に与え続ける賃貸経営を目指していただきたいと思います。

 

 

 

 

ここまでお読みいただきましてありがとうございました。

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この記事を書いた人

のだなおき

のだなおき

賃貸不動産に関わる様々なジャンルについてお伝えします。

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