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HOME > 相続・事業承継 > 遺言書を書くときに注意すること その3 分け方の要因は?
「法律に任せて分けることの危険性」
遺族みんなが満足するためにどんな分け方がいいのでしょうか?
法律で決められた分け方をするなら公平感はあるかも知れません。
しかしそれではうまくいかないことも多いです。
例えば不動産賃貸業では相続人同士で共有分割してしまったら経営はやりにくくなります。
賃料等募集条件の決定、必要な工事の発注、固定資産税等の税金負担、建て替えや売却などの意思決定が複数人の同意なくしてはできないとなれば、意見がまとまらず機を逃すこともあるでしょうし、ずっと平行線を辿り、物件力を下げることになりかねません。
遺産の配分を決める要因として考えておくことは次の5つです。
1 先代の意思
2 相続人の家庭環境
3 将来性
4 地域性
5 貢献度
1 先代の意思
自分が営んでいる事業や所有している不動産など、先代や先先代から引き継いだものがゼロでなければ、それは次の代へのバトンと考えると良いと思います。
どんな思いや願いがあって先代が自分に渡したのか、どんな思いや希望を持って自分が受け取ったのか、それを今一度思い起こして考えることがきっと良い答えを教えてくれます。
2 相続人の家庭環境
3の将来性にもつながりますが、相続人が結婚しているか、子供がいるか、障害者かどうかなどです。
長男には子供がおらず、次男には子供がいる場合など、家庭環境によって決める内容は変わってきます。
3 将来性
相続人の職業や収入、性格や素質や能力などです。
長男は公務員で次男はアルバイト収入、三男は中小企業の社長など、経済力の差や個人資産の差は考慮すべきです。
4 地域性
相続財産に不動産がある場合には、相続人がどこに住んでいるかは重要です。
海外に住んでいたり、国内でも遠方とか、同居している、近くに住んでいるなどです。
5 貢献度
親の面倒を見ているか、よく顔を見せに来ているか、介護の世話をしたか、他の兄弟の面倒を見ているかなどです。
これらを考慮した上で、法定相続でなく合理的に差をつけて配分を決めると良いでしょう。
相続トラブルは死後に突然起きるわけではなく、被相続人が生きている間のことが原因になって起きるのです。
例えば長男は留学させてもらったけど、次男は大学へ行っていないとか、親の介護の面倒を長い間次男がみていたが三男は見ていないとか。
このように生きているときから法律通り均等に分割できない原因が存在するのです。
相続は自分で築いた財産でない遺産が一生に1回あるかないか目の前に突然出現するものです。
金額は相続税のかからない人でも退職金相当であったり、相続税のかかる人の場合は一生かかっても築くことができない財産が棚からぼた餅のように転がりこむのです。
お金を前にして感情の衝突が一度でも起きてしまうとその修復は一生困難だと思います。
ではどうすれば未然に争族を防ぐことができるのでしょうか?
相続の責任は100%親にあります。
子供にはありません。
自分の亡き後も家族みんなが仲良く喜んで幸せになってくれる相続を考えているならば必ず公正証書遺言を作成すべきでしょう。
残念ながら公正証書遺言を書いている人は60歳以上の人で約500人に1人しかいません。
決断のできない親、孤独な作業に耐えられない親が多いのが現状です。
遺言する決心をしたらすぐに書くのが賢明です。
早すぎた遺言は後で訂正できますが、遅すぎた遺言は思わぬ悲劇を生みます。
土台だけでも早く作っておいた方がよいのです。
「与えられている希少で貴重な使命」
よく相続・遺言の書籍やインターネットの情報、エンディングノートを参考に遺言を作成しようとする人がいます。
しかし、ここには一般的な事例が記載されているだけで自分とほぼ同じ事例は記載されていません。
平成27年まで相続税がかかる人は全体の約7%しかいませんでしたので税制が変わっても賃貸不動産オーナーが14人に1人もいないことには変わりがないのです。
その希少で貴重な財産を受け継ぎ、後に繋ぐという使命は誰もが与えられるものではありません。
だからこそ相続対策、遺言作成がモノマネではできないのです。
専門家の意見を聞き、家族とコミュニケーションをとって自分だけの遺言を作成いただきたいと思います。
賃貸不動産に関わる様々なジャンルについてお伝えします。