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相続登記が義務化されます

国内不動産全体の3分の2が正しく相続登記されていない!?

 

今、所有者不明土地が問題視されています。

 

 

2016年時点でこの所有者不明土地は地籍調査の推計で約410万haあり、九州の土地面積である約367万ha以上に存在しています。

 

 

 

その中でもcdについて、相続登記が行われていないものが実に66.7%にも及びます。

 

所有者不明土地があることによっていくつもの弊害が出てきます。

 

 

 

 

 

 

なぜ所有者を確定させるのが難しいのか?

 

 

それは所有者の探索に大きな手間がかかるからです。登記簿上の所有者が死亡している場合、相続人の把握のため、法定相続人全員の戸籍請求や住民票・戸籍の附票の請求など、調査に膨大な時間と労力がかかります。

また、所有者間の合意形成が難しいからです。法定相続人が多数の場合、遺産分割協議によって最終的な所有者を決定するのは困難なことが多く、相続人の中に認知症などによって判断能力を失っている人がいる場合にはさらに難しくなるのです。

 

このようなことが多発することを背景に、やっと、相続登記が2024年(予定)から「義務化」されます。

 

「不動産の所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により不動産の所有権を取得したものは、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転登記を申請しなければならない」となります。

これで少しは所有者不明土地が少なくなっていくことになるでしょう。

 

 

 

ではここで、なぜ、こんなにも問題になるまで数が増えたのでしょうか?

一つの理由として「弁護士、司法書士、行政書士が相続について疎かった」ことが言えると思います。

当然相続についてとても詳しい方もいらっしゃるのですが…


平成31年現在、日本に弁護士は約41,000人、司法書士は約22,000人、行政書士は約48,000人で合計人数は約111.000人です。
そして、遺言で言えば、平成31年の公正証書遺言を作成した件数は113,137件です。
公正証書遺言の原案を遺言者自身で作成する場合もありますから、実際に専門家に依頼して作成助言しているケースはもっと少ないはずです。
専門家の人数で遺言数を割ると、1年に1件程度遺言と関わりがあるかどうかです。
ですから1年間に1件も公正証書遺言の作成助言をしない弁護士、司法書士、行政書士が世の中には多いと思われます。専門家で1年に1件の公正証書遺言の作成助言です。
これでは遺言・相続のプロとは言えません。 


しかも専門家でも遺留分計算をして公正証書遺言の作成助言する人はあまりいないでしょう。
そもそも専門家は遺留分計算ができないのです。
その理由は不動産の遺留分は固定資産税評価額でも、相続税評価額でもないからです。
時価(実勢価格)だからです。

 


そして専門家が遺留分計算をしない(できない)から、公正証書遺言を作成しても相続後、相続人間で揉めるのです。これでは何のために遺言書を作成するのか分かりません。
また遺言に従って遺産分割しても、いざ相続開始になって納税ができないようでは困ります。
そのためには遺言書を作成する前に、相続税の予想額を算出し納税資金対策をして遺言を作成する必要があります。専門家でも納税資金のことまで考えて公正証書遺言を作成している人は少ないのが実情です。

よく不動産が不公平な分割にならないように、兄弟姉妹同じ割合ずつ「共有」で遺言書を作成する人があります。「共有」とは1つの財産・不動産を「持分」と言う割合で、複数の相続人が持ち合うことです。

司法書士が不動産を共有名義で相続登記した物件をよく目にします。しかし共有は問題の先送りで、共有人数が増え、相続財産の管理、運用、処分がしにくくなり将来的には必ず問題が発生します。

1つの不動産が2人以上の共有名義とならないように遺言することが大切です。
不動産の「共有」は相続対策で絶対にやってはいけない危険なことだと繰り返しお伝えしております。

 


さらに遺言書を作成しても一次相続は上手くいっても、二次相続が上手くいくとは限りません。
そうならないためには遺留分対策納税資金対策不動産対策二次相続対策を含めた公正証書遺言を作成するための総合的な相続対策のアドバイスが必要になります。
 

 

もう一つ、各専門家が原因でここまでの所有者不明土地が増えたかというとそうではなく、なぜ相続登記をしないのかという理由には、「費用がかかる」ことと「手間がかかる」ことがあります。

費用の種類としては司法書士報酬や登録免許税、戸籍書類の取得費、郵送費などが主で、取得する資産がある程度ないと負担でしかありません。

また、手間がとてもかかります。戸籍収集や遺産分割協議、各申請書作成など多岐に渡り時間と手間がかかるのです。




相続・遺言対策で司法書士は、不動産の相続登記法定相続人の確認を主に行います。
戸籍を切れ目無く亡くなった人(被相続人)の出生から死亡時までの戸籍を調査、取得することは大変な作業です。

現行では、相続登記に関しては期限がなく、代々相続登記されず放置されている不動産が存在するケースがあります。
先祖の家系を辿っていくとき、大変骨が折れる作業となります。こんなとき司法書士が役に立ちます。
委任状一つで必要な書類を揃えてくれます。

 

補足ですが、相続が発生した場合には、相続人の方にはまず、「法定相続情報一覧図」を取得いただくことをお勧めします。

被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍など一式の書類を揃えて法務局で出してもらえる書類です。金融機関や税務署などにバラバラの戸籍書類をそれぞれに必要な部数だけ準備するのは大変ですが、これがあればほぼ賄えますし、最初に司法書士への費用が数万円かかりますが、追加で何部取得しても費用がかかりません。銀行口座が複数ある方や、証券会社との取引が複数ある方には非常に便利です。

 

 



手間のかかるケースで、例えば、相続人が婚姻等により外国籍になった場合、相続人の戸籍は日本の戸籍から除籍されているので、相続人の戸籍を取得することはできません。また印鑑登録証明書は外国にはありません。印鑑登録証明書の代わりに、外国の公証人の面前で相続人の現在の国籍や生年月日を供述した宣誓供述書が必要になります。

このほか、相続人の中で、日本人で海外在住という相続人がいて、印鑑登録証明書の添付ができない場合には、印鑑登録証明書の代わりに日本国総領事館の証明書、住民票の代わりに日本国総領事館の在留証明書を準備する必要があります。

実際にアメリカ在住の方の売買契約を行ったことがありますが、戸籍取得ほどではないですが、移転登記には通常の2倍以上の手間と時間がかかります。その上、買主売主お互いに話をする場合、日本と現地時間との時差の問題もあります。


尚、韓国や米国、ヨーロッパなどほとんどの国には戸籍制度はありません。
現在の日本と同じような戸籍制度がある国は、中国(中華人民共和国)と台湾(中華民国)の2か国だけです。日本のような戸籍制度がない海外諸国においては、多くの国で「国民識別番号」と呼ばれる国民1人1人に付与されているシステムがあります。
米国やカナダでは氏名、住所、出生地、生年月日、国籍などを登録した「社会保険番号」制度があり、
2007年に戸籍制度が廃止された韓国では、国民識別番号として「住民登録番号」制度があります。
同じようにスウェーデンでは氏名、住所、本籍地、家族の所得や所有不動産などを登録した「住民登録番号」制度があります。
ドイツには「家族簿」といわれる家族単位の身分登録制度があり、フランスには出生届けを出した段階でつくられる「市民籍」があります。

日本では戦前は家を単位とした「家制度」があり、戦後は家族を単位とした「家族制度」の考え方がありました。この考え方が欧米の個人主義と異なり、戸籍制度と「国民識別番号」制度の違いに反映しているのでしょう。

 


国際間の隔たり以外にも、国内でも今では相続人が住んでいるところがバラバラであることが多いです。

 

今回の相続登記の義務化を機会に、ぜひ今出来るうちに実態に則した登記情報に変えておくことを強くお勧めいたします。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。


 

この記事を書いた人

のだなおき

のだなおき

賃貸不動産に関わる様々なジャンルについてお伝えします。

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